ぜんぜん売っていない本を読みたかったのでいろいろ聞いて回った話

結論:図書館に行こう

 

結論から書いてしまったが、レアな本を読みたいときには図書館に頼るのが一番いい。そういう結論に至った過程をグダグダと綴っていきます。

 

僕は読みたい本があるときはまずAmazonで確認する。たいていの本はAmazonにあるし、プライム会員だから配送料も無料なのでほとんどこれに頼っている。今回読みたかった本は定価1900円だったのだが、Amazonでは中古の7000円のものしかなかった。どうやら少し在庫が少ないものらしい。暗雲。

 

続いて本屋で探してみる。たまに外出をしたときに大きめの本屋で該当のジャンルの棚を練り歩く。しばらく回った後に、hontoというサイトで本の在庫を調べることができると分かった。

honto.jp

大型の書店のいくつかはこの検索にひっかかるため、欲しい本の在庫がある店を調べることができる。場合によっては通販もできるらしい。そして当然ここでも見つからなかった(在庫があったらそのまま中古市場で高値で取引されていたと思うので必然)。

 

本屋に在庫を問い合わせると出版社まで在庫の確認をしてくれるとのうわさを聞いたことがあるのでそれを試してみた。最寄りの大型書店に電話をしてみて本のタイトル、作者と出版社名を伝えた。数日後に在庫の確認結果を伝えてくれるとのことだったが、こちらでも在庫はないとの結果だった。

 

ここで出版社のサイトで確認してみた。ここでも通販の取り扱いはないとのことだったが、在庫確認と再販希望の旨の問い合わせのメールを送ってみた。こちらはどのくらい時間がかかるかわからなかったが2時間くらいで返事が来た。速攻で拒否られた。中古市場で定価の4倍くらいの価格になっているのだから再販したらそれなりに売れると思うのに、と思ってしまった。浅慮。

 

最終手段でメルカリなどのサイトを確認した。調べていくうちにわかったが、そこそこ人気の高い本らしく、中古市場で実際に売れた価格を見ても定価の3倍くらいはあった。出版社にも作者にもお金が入らないのに市場価格を吊り上げる一助となるのは正直気が進まないので、ここであきらめることにした。

 

が(唐突)、ここで図書館にあるのではないかと思って調べることにした。

calil.jp

このサイトで調べたところ、近所の図書館では貸し出ししていなかったが少し自転車で走れば借りることができると分かった。はじめから図書館で借りようとしておけばよかった。

 

結果として、欲しい本があった場合は

1.hontoで調べる

2.なければカーリルローカルで調べる

3.もしくは小型の書店に奇跡的に置いてあるのを祈る

というのがいいのかもしれない。詳しく知らないが、本屋や出版社に問い合わせるのは最近出版された本などがいいのかもしれない。

 

ちなみに僕が今回入手に奔走した本はこの本だ。面白かったので図書館で見つけたらぜひ読んでみてほしい。そして奇跡的に本屋で見つけた場合は、僕にこっそり教えてほしい。

honto.jp

合成音声の歌はこんなに進化しているんだぜって話

重音テトSVがすごい!

突然で申し訳ないが、この曲を知っているだろうか。

www.nicovideo.jp

ボカロ好きの人や音ゲー好きの人は知っているだろう。あるいは吹 っ 切 れ たなんてところから知った人もいるかもしれない。

この歌を歌っているのは初音ミクと同じVOCALOIDの重音テト(かさねてと)という子なのだが、きのう重音テトのアップデート版とでもいうべき製品が発売された。何はともあれ僕のおすすめを聴いてほしい。一曲だけでもいいから。

www.nicovideo.jp

www.nicovideo.jp

www.nicovideo.jp

 

めっっっっちゃめちゃかっこよくないか!?!?!?!?これ機械音声だって言われても今でも信じてない。何なら人間よりも上手い。もちろん投稿者が違和感なく歌わせているというのも素晴らしいが、同時にすごいのがこの動画で用いられている音声合成エンジンだ。SynthesizerVという製品である。

ざっくり説明すると、これまでよりも自然に歌わせることができるソフトだ。AIの力でより自然な歌声を作ることができるのがこのソフトのすごいところで、丁寧に制作された音声では人と区別がつかないほどだ(とは言ったものの僕は人よりはボカロ曲を聴いている方だとも思うのでボカロ音声の違和感に気づきにくくなっている可能性はある。ただ加工した人間の音声と比較してもほとんどの人はわからないのではないだろうかとは思っている)。

 

昨今のAIの進歩は目覚ましいだとか、それによって人間の仕事がどうとか、そういう話は今回は一切しない。ボカロにできることがさらに広まったんだ、くらいの感覚で僕は話したい。というか僕の好きな曲を布教させてほしい。そのために深夜2時にこのブログを書き始めている。いろいろ貼るので気になったやつを見てほしい。少しでも琴線に触れるものがあったら布教した人間として至上の喜びである。

 

【正統派に人間ぽいやつ】

www.nicovideo.jp

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【こういう声もいけるのか系】

www.nicovideo.jp

www.nicovideo.jp

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【男声もいいぞ】

www.nicovideo.jp

 

【複数人で歌うとまじで違和感が消える件】

www.nicovideo.jp

www.nicovideo.jp

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【合成音声のキャラのライブもあったんやで】

www.nicovideo.jp

 

追伸:もっと教えろという方には更にオススメを送りつける所存(宣戦布告)

 

ICL手術を受けてきた話

僕は目が悪い。視力を両目あわせても0.01くらいには目が悪い。メガネをかけることで特に問題なく暮らせていたから不便ではないが、メガネなしに暮らせるならそれに越したことはないと思っている。視力が低いことは程度の低い障害だ、くらいにまで思っている。

 

レーシック手術を受けることも考えたが、レーシックは手術後に視力が低下する可能性があるみたいなことも聞いたし、いまひとつ踏み切れないでいた。そのときICLという手術では視力の低下がレーシックよりも起こりにくいと聞いた。このときボーナスの使い道を考えていたこともあって、僕はこれを受けることにした。

 

ICLとは日本語で眼内コンタクトレンズという。なんか網膜の中にレンズを入れることで視力を回復するみたいなことらしい。詳しくは各々調べてほしい。以下には当日の体験記を記そうと思う。

 

受付〜検査

受付で既往歴などのアンケートに記入する。その後、機械を使っていろいろな眼の検査をする。眼科検診に行ったことがある人はわかると思うが、眼圧検査(風がプシュッと出てくるアレ)とか、気球の写真を眺めるアレとかの見たことあるやつから、よくわからん機械までいろいろあった。個人的にはサイバー感のある輪の中を見続ける検査が一番面白かった。

これらの検査を終えてから視力検査に入る。よくあるランドルト環(C字型のアレ)などを用いたものだ。いつも通り全然わかんね〜となっていた。こういうのっていずれ正答率教えてくれないのかな。

 

点眼

視力検査を終えてから、瞳孔を開く目薬を点眼された。これがなかなか面白くて、近くに持ってきた本やスマホの字がめちゃめちゃ見えにくくなる。メガネをかけているのにメガネをかけていないような感覚。僕はいつも胸元で本を手に取り読んでいるが、このときは膝のあたりまで話さないと字がはっきりと見えなかった。ウケる。しばらく経ってからまた気球を見る検査をした。恐らくあれは瞳孔の開き具合を見るやつなんだろう。

 

診察

これを受けるまでに1時間かかった。人気のクリニックに行ったから仕方ないと思うが、瞳孔が開いているせいで本もうまく読めないのですごく退屈だった。ルービックキューブでも持っていけば良かったかもしれない。それかイヤホンで音楽聴くとか。診察室では眼科特有の目をライトで照らしてお医者さんが色々見るやつをやった。どうやら僕の角膜の厚さとかは手術条件に適合したらしく、手術は受けられるようだった。その後手術に関する説明を受け、今後の流れを説明されその日は終了。手術は近くても一ヶ月後になるということだった。有給を消費することが決まった。

 

採血

手術を受けるにあたって執刀医へのリスクを考え、HIV検査のため採血をされた。僕は手術とかを受けたことがなかったのでこういうことがあるのは知らなかった。

この日は受付が13:30だったのでもう腹ペコだ。これが一番つらかった。池袋の洋包丁という定食屋でスタミナ焼き定食にありつく頃には時刻は19:00を指していた。

 

翌日

二度目の視力検査だ。初日に行った視力検査の結果が正しいかどうかの確認みたいなものらしい。

今回はランドルト環を使ったいわゆる普通の視力検査だ。時間は大してかからなかったが、この日もはちゃめちゃに混んでたため1時間以上はかかった気がする。

 

翌月

いざ手術!!!

 

 

と思わせてまた検査だ。これも同じく視力検査。やっぱりレンズを眼の中に入れるという手術の特性上、視力は厳密に測らなくてはいけないのだろう。これは経験にもとづく曖昧な知識だが、視力検査の結果はその日の体調とかで若干前後する。あくまでも体感だが、それでも眼下で測った視力とメガネ屋で測った視力で差があった、なんて経験をしているのであんまり間違ってないと思う。それだけに複数回検査して、正確に今の視力を測定する必要があるのだろう。

特に問題もなかったため、2週間後には手術を受けられるとのことだった。正直少しワクワクした。

 

手術3日前

眼の消毒のためだったか、手術の3日前から目薬を使い始めた。2種類渡され、片方を点眼してから3分ほど間隔を開けてもう一つを点眼、いずれも一回あたり2滴の点眼、それを一日目6セット行うというまあなんとも頭が痛くなるような内容だった。

朝起きて点眼し、朝食後にまた点眼、昼にまた点眼…と気づいたらまた目薬、といった具合だった。人生で最も目薬をさした3日間だったと思う。

 

手術当日

いざ当日。来院してからもう一度眼圧検査みたいなのをやった。今回はこれに加え血圧も測った。手術になにか関係あるのだろうか。ちなみに上が124で下が74だった。自分史上の最高値だったのが印象的だった。緊張か?

その後は瞳孔を開くための目薬を間隔を開けつつ何度かさした。しばらくすると文字を読むのが難しくなり、退屈になった。先日の反省を活かしイヤホンを持ってきていてよかった。適当に音楽を聞きながら手術までの時間を潰す。

 

しばらくして手術後のことについて説明を受けた。手術後は目薬の頻度が更に増えるらしい。マジかよ。これまでは1日6回だったのが1日8回になるらしい。もはや楽しいまであるな。加えて抗生物質などの飲み薬ももらった。血圧を下げる薬を使っていると困ることがあったらしく、血圧を測ったのはこの飲み薬のためのようだ。薬に加えて、手術後に眼を保護するためのメガネと寝てるときにする眼帯をもらった。メガネは花粉をブロックしてくれそうな形状のもので、時期的にしばらく使おうかとも思ったりした(これはネタバレだが結局使わなかった。メルカリに出品したら一瞬で購入された)。

 

待ち時間の間に手術着を着せられた。頭にネットみたいなやつを被って、かっぽう着みたいなやつを着せられた。いよいよ手術が近いのだと思わされる。少しだけ緊張した。

 

しかし待ち時間が長い。予定より1時間半遅く手術室に案内された。手術中にトイレに行きたくならないように昼食を取っていないからすごくお腹も空いていた。本を読んだりもできないし、ひょっとしたら手術そのものよりも待ち時間のほうがつらいのではないか。まあ一番大変なのは執刀医の方なのだが。

 

手術町の間に瞳孔を開く目薬を何度か打ったのだが、手術前にはそれとは別の目薬を打つことになった。麻酔用の目薬らしい。目の手術というものにビビっていた僕はてっきり眼球に直接麻酔薬を注射するものだと思っていたから、何滴か目薬を注射するだけで済んだのでとても安心した。この手術をするにあたって、笑気麻酔(痛みを和らげるための麻酔というよりも、気分をリラックスさせるための麻酔。脱毛の施術のときに使うクリニックもあるらしい)を使うこともできたのだが、1万円以上したので僕は使わない選択をした。その代わりといっては何だが、手術中にニギニギするためのゴムボールを渡された。献血に行った人ならわかると思うのだが、採血中に握っているためのアレみたいな感触だ。今思うと少し心もとない気もするが、手術前にその存在を知った時には存外頼もしく見えた。

 

手術室に案内される。手術室には椅子と何かいろいろあった。正直メガネをしていなかったので中に何があったのかはわからない。椅子に座らされると、歯医者よろしく椅子が倒された。当然顔の真上に照明がついているのだが、目薬の影響で瞳孔がガン開きなのもあってめちゃめちゃ眩しかった。これに最後まで苦しめられることになる。

 

手術開始

ます顔の消毒から始まった。顔を傾けつつ赤い消毒液を目にバシャバシャかけられたり、床屋のヒゲ剃りの時に塗るクリームみたいなやつを塗られた。片目だけ穴の開いたシートみたいなものを顔に貼られ、いよいよ手術が始まった。目を開けたままで固定する器具を付けられた感覚があった。これを付けられて以降、目の潤いを保つために定期的にバシャバシャと水をかけられることになる。結果的に視界は水のバシャバシャと、照明の強烈な明るさでなんだかよくわからない状態だった。ストレスが非常に高い環境だったことは覚えている。人間に例えるなら、ものすごい剣幕でまくしたててくるクレーマーのようだった。

 

手術中の目の感覚としては、目がぐいぐい押されているような感じだった。麻酔のおかげで痛くはなかったのだが、不快感はまあまあ感じた。目がジーンとするような感覚と、ときどきグイっと押されるような感覚の中で、ずっと正面(天井)を見るように指示された。これが存外に難しく、シンプルに照明を直視するだけでなく瞳孔がしっかり開いている状態のため、無意識に目をそらしてしまうことがままあった。執刀医には怒られた。

 

手術自体は大した時間はかからなかったように思えたが、ストレスはたまったのでそこそこ疲れた。手術がおわったら少し目を開けて休憩スペースまで移動したのだが、その時の視界はなぜか赤らんでいた。これは恐らく目が血まみれだったのではなく、消毒液が赤い色をしていたのが原因だと思う。アニメのバトルシーンなんかで主人公の目に血が流れてきたときに視界が赤く染まる演出は割とマジであるのかもしれないと思った。視界は赤いフィルターのほかに白いもやがあり、まだくっきりとは見えなかった。

 

手術室外のやわらかい椅子に案内され、目をつむっているように指示された。だいたい90分ほど目をつむったままお待ちくださいと言われたときは面食らったが、疲れていたのでちょうどよかったかもしれない。

椅子に座ってすぐ、看護師さんから痛み止めの薬を渡された。水は紙コップで渡されたのだが、のどが渇いていたのですぐ飲み干してしまった。もう少し飲みたいと思っていたら看護師さんが「左手のそばにお水置いておきますね」と言ってくれた。看護師さんのやさしさに感謝しつつ暗闇の中手探りしてみると、どうやらそれらしきものが見つからない。無理やり探してコップを倒してしまうのも怖かったので、探すのをあきらめた。1時間ほど喉カラカラで過ごす決意を決めた。ちなみに水はペットボトルで渡されていた。えるしっているか めをとじていては ぺっとぼとるだとわからない

 

1時間ほど目をつむって待っていると、名前を呼ばれた。どうやら目を開けていいらしかったので目を開けると、まぶしさと目の異物感でうまく目を開けられなかった。どうやら麻酔も若干残っていたようで、右目がうまく開かなかった。視界は寝起きみたいにぼんやりした感覚だったが、歩く分には問題ない感じではあった。呼ばれた理由は術後検査のためらしく、眼圧検査などをする機械の前に案内された。目を開けるのが少し難しかったことと、目の異物感があったため目に風が来るのがちょっときつかったため、眼圧検査は何回かやり直した。普段の眼圧検査でも何度かやり直す人なので、これはしょうがなかったかもしれない。

 

この検査が終わった後、特に問題がないということで帰ることとなった。できれば電車などでは目をつむっているように忠告を受け、目を保護するための保護グラスをかけてから帰った。目の異物感(感覚としてはコンタクトレンズを入れるのに失敗したような感覚)が強かったので、瞬きの回数がすごかったと思う。これは帰ってから気が付いたが、充血もすごかったので周りから見たらちょっと怖かったかもしれない。真っ赤に充血した成人男性がうつむきつつ瞬きしまくって歩いていたら僕はちょっと避ける。

帰りの電車では乗換に苦労したくなかったので、手術前に簡単なルートを検索しておいた。目をしっかり開けて順路を探すのがおっくうになるので、この手術を受ける人は帰り道をしっかり覚えておくことをオススメする。

 

帰ってきてから、僕はもう狂ったようにキッチンを右往左往した。最後の食事からおよそ10時間、とっくに空腹の限界値に来ていた。冷蔵庫から豆腐を取り出し、冷凍チャーハンを一袋まるっと温めた。疲れの原因は恐らく手術というよりも、空腹だったのかもしれない。とにかくドカ食いした記憶だけ残っている。ちなみにその後おなかを下した。みんなは理性的な食事をしてほしい。

 

閑話休題。帰ってからの目の調子だが、特に痛みはなかった。相変わらず異物感は強かったので目をしっかり開けていたくはなかったが、徐々に視界のぼやけが消えていくのはうれしかった。

帰ってから目薬を何度か打つ必要があったのだが、目薬を打つために保護グラスを外した時が衝撃だった。眼鏡を外しても視界がクリアなのだ。むしろ目の前に何もなくなったことでよりきれいに見えるのが不思議でならなかった。眼鏡をして10年以上過ごしてきた僕にとってこれは衝撃で、ありていに言って感動してしまった。手術をしてよかったと最初に思ったときは、このときだったかもしれない。

 

寝るときには保護グラスではなく、丸いプラスチックの板をシールで張り付ける必要があった。寝ぼけて目をこすってしまわないようにするためだろう。眼科の受付でシールとプラスチックの板をもらっていたので試しにつけてみたが、粘着力が貧弱で全く接着できなかった。面倒だったが近所のスーパーがまだ開いていたので、強力なものを買ってきた。これで無事完全に接着できたものの、食事の時間がおかしかったせいか体内時計が狂い、なかなか寝れなかった。

 

翌日

目が覚めた時、目の異物感が少し和らいでいるように感じた。この日は術後翌日検診があり、また眼科へ行く必要があった。視力検査や眼圧の測定などをしたあと、目の写真を撮った。大して問題はなかったが、目の表面に傷が何か所かできてしまったらしい。これはままあることらしく、新しく目薬を処方することで対処できるらしい。ちょっとだけ面倒が増えたが、それ以外は経過良好とのことだったので安心した。この日はその健診だけしてすぐに帰った。

 

家に帰って目薬をしていると、目薬の頻度に驚いた。まず、術後1週間は1日8回も目薬を打たなければならない。しかも、処方されている目薬は4種類もある。おまけに片目に2滴しないといけない。どういうことかというと、1日当たり128滴だ。128滴だ。おそらくこの1週間だけで、10年分くらいの目薬を打ったと思う。気が狂うかと思った。スマホのタイマーで時間の管理をしていないとすぐ目薬を打つ時間が来てしまうので、この1週間は結構大変だった。

 

術後2日目

もう仕事をしても良いといわれていたので、この日は有休を取らなかった。目の異物感は若干あったが、視界はクリアになっていたので仕事はできた。集中力は少し落ちたが、これは2日間の休み明けだったからかもしれない。少し逸れるが、仕事中に何度も目薬を打たなくてはいけなかったので、テレワークじゃなかったら何かしら突っ込まれていたと思う。

 

術後3日目

この日も健診に行った。翌日検診と大差なかった。乗換案内を見ずに眼科に行けるようになった。

 

術後1週間

術後1週間検診に行った。医師に目の状態を見てもらい、問題がないことを確認してもらった。翌日検診でできていた目の傷は無事に治っていたらしく、もう保護グラスをつけずに生活して良いと言われた。加えてシャワーや洗顔をしても問題がないと言われたのが何よりも最高だった。まだ冬とはいえ、濡れタオルで髪を拭くだけの生活は正直きつかった。家に帰ったとき、手術が一区切りついたんだなと実感した。

 

それから

目薬の回数は一日4回に減った。あとこれまで4種類やっていたのが3種類に減った。回数が減ったとはいえ4回も打つ必要があるため、1種類減ってくれるのはうれしい。目の調子については、以前よりも若干ドライアイ気味になった気がするというくらいで特に問題はない(たしかこのドライアイもそのうち消える)。強いて言うなら、夜になるとハロー・グレア現象(光がまばゆく見える感じ)をたまに感じるくらいか。いずれにせよ目が良くなったことによるメリットの方が自分の中では大きいので、手術を受けることができて良かった、と強く思っている。

 

長々と書いてしまったが、僕が受けたICL手術の感想はこんな感じだ。受けてみたいと思った人は僕にぜひ連絡してほしい。3万円分の割引クーポンを持っているので。最初に眼科に行って検査をしてから、手術まで1ヶ月半ほどかかったが、無事に終わって実に感無量だ。

末筆になるが、いくつか手術後に驚いたことをまとめて締めようと思う。

 

手術後に驚いたこと

・汗を拭きやすい

・目薬をするときにメガネを外す手間がない

・顔を洗ったあとの自分の顔がはっきり見える

・ヒゲそりをするときに鏡に近づく必要がない

・メガネをしていないと久しぶりに会う人に気が付かれない

・メガネをクイッとやる動きをしてしまう

・なんだか落ち着かないのでブルーライトカットのメガネを買ってしまう

 

最近読んだ本の話

おひさしぶりです。最近とんでもない暑さですがみなさまお元気でしょうか。僕はすさまじい汗かきなので本当に参っています。

 

さて、4月に入ってから本を読む量が増えたのでイキリもかねて読んだ本の感想なんかをまとめたいと思います。ほとんどイキリです。嫌な人は耐えて最後まで読んでください。

※読みたくなったら無期限でお貸ししますのでお気軽にお申し付けください。

ちなみに仕事に無関係な本しか読んでないです。

 

心理的安全性の作り方

 組織で何かをするときにいい雰囲気づくりをするには、っていう本。コンサルの人はこういうの読んでるのかなって漠然と思いました(知ったか)。サークル長時代に知っておけば少し立ち回りに影響あったのかなとか思ったり思わなかったりラジバンダリ。

 

マイクロソフト戦記

 マイクロソフトがどうやってデファクトスタンダード(事実的な世界標準)を手に入れたのかという経緯をまとめた本。windows3.0というバージョンの発売を契機にしてシェアを爆発的に得るまでのいろんな出来事が時系列に語られていく進行。個人的にはアップルのために開発してた表計算ソフトの技術を、アップルとの契約が切れた後に自社製品(Excel)にがっつり使ったことでジョブズげきおこってエピソードが好き。

 

「汚い」日本語講座

 タイトルと作者(金田一秀穂世界一受けたい授業とか出てる人)で買った本。わたしたちが汚いと感じる物から汚いという観念が示すものをつぶさにまとめていく感じ。言葉のもつ役割的な知識から日ごろ使っている言葉のなりたちとかについてじっくり語る、「作者これ書いてる時楽しかっただろうな~」ってなる本(ポジティブな意味で)。

 

あなたを陰謀論者にする言葉

 エセ科学とか怪しい新興宗教とかの話。そういうきな臭さと神秘的な魅力の文化の源泉が書いてある本。身近にあるそういった文化と危険な集団の話が分かって面白かった。最近出版された本なのでアンチコロナ集団の話題なんかも入っていた。闇の勢力と闘う救世主ドナルド・トランプとかいうパワーワードが大真面目に出てきたりする。

 

AIの倫理学

 AIが自動運転する車が人をひいたら誰に責任があるのか?運転席に座っていた人か、それともAIの開発者か、それともAIそのものか?みたいな話題を切り口にいろいろ話す本。AIについての倫理を考えることが人間社会での倫理を考えることになるって主張が興味深かった。ようやく仕事に関係ありそうな本読んだなこいつ。弊社AI使わないけど。

 

肝臓の話

 肝臓の機能とか肝臓が悪くなった時に起こりうる病気の話とかがいろいろ書いてある本。お酒を飲むと肝臓の機能が弱まる(というより過労みたいな状態になる)ことが詳しく書いてあった。肝臓関連病気の紹介の部分で、自戒することができるので健康診断直後のあなたにおすすめ。

 

映画を早送りで見る人たち

 ネトフリとかアマプラの普及で、ソーシャルネイティブ世代(SNSとかに小さいころから触れている世代)の人たちがどのように映画などのコンテンツに触れているのかをまとめた本。周囲の話題に合わせるために、映画を字幕付きで早送りで見たり話題のシーンまで飛ばしてあとはネタバレサイトで見る、などの彼らの驚きの生態が明かされる。彼らを単純に批判するのではなく、現代の視聴者が置かれているコンテンツの過剰供給や、SNSで常に繋がることにより話題についてけないことへ恐怖を感じるソーシャルネイティブの現状にも焦点を当てた一冊。

 

地獄変

 芥川龍之介のやつ。青空文庫で読んだ。ちょっと尖った画家がお殿様から地獄の絵を描いた屏風を作ってくれと頼まれる話。文体もそれほど読みにくくなかったし、話も面白かったのでオススメ。芥川龍之介 地獄変

 

悪魔

 芥川龍之介のやつ。青空文庫で読んだ。地獄変よりずっと短くてさらに読みやすい。短編だからあらすじ書いちゃうとほぼ内容伝わっちゃうから書かないけど、けっこう面白かった。多分ツイッターに似たようなオリジナル漫画ある。オラ、こういう短編が好きだ。芥川龍之介 悪魔

 

追記:朱儒の言葉って随筆集も青空文庫にあったから読んだんだけどあれだわ、これツイッターだわ。明治のツイッター。芥川が現代に生きてたら絶対ツイッタラーになってる。

 

餃子屋とフランス料理屋ではどちらが儲かるのか

 タイトル通りの話...と思ったら、会計についての知識を広く浅く読める本だった。簿記に興味あるけどがっつりテキスト買うの怖いな~くらいの人に貸したい本。とりあえず軽く会計知識の入り口が入るのでいずれ何かの役に立つかも。

 

だからヤクザをやめられない

 ヤクザが出所後とかカタギになった後にどうしてヤクザにカムバックしてしまうのか、というテーマの本。社会が元暴力団とかに排他的過ぎると社会復帰の意思のある人たちが食い扶持を求めてヤクザに出戻りしちゃうぜ、って主張が一貫していた。暴力団だけでなく半グレと呼ばれる人たちのことも取り上げていたので、幅広いアウトローの実態が読める本。けっこう面白いので研修であった人に貸してしまった。研修は終わったが、まだ返ってきていない。

 

イルカを食べちゃダメですか?

 イルカ漁、クジラ漁が伝統的に行われている和歌山県大地での漁師の実態をまとめた話。イルカ肉、クジラ肉が地元で文化として息づいている話や、文化というものの扱い方について考えさせられる本だった。反捕鯨団体の外人兄貴姉貴たちがズケズケ押し入ってくる話とかもある。近場だと銚子でクジラ漁やってるっぽいから食べに行きて~(食いしん坊)

 

宇宙・肉体・悪魔

 かっこいい。とにかくタイトルがかっこいい。銃・病原菌・鉄くらいかっこいい。科学者が100年前くらいに書いた未来の科学と社会の関係を予想して書いた本。人間が科学とより一体化していくうえでの障害(心理的障害とか社会的反感)をまとめていて、けっこう考えさせられる。てか文体が読みにくい。現代のSFがかなり影響を受けていることがわかる部分があってビビります。あとけっこう値段が高くてビビります。

 

「食べること」の進化史

 食事という行為の変遷、今後の変化の予想が書かれた本。今後の食の変化だったり変わらない食事の役割についてまとめてあった。ハッとする部分もあったり、これからの食事の変化に胸躍る話もアリ。3Dプリンタで作られた食材とか、人工培養肉、昆虫食とか普及したらおもしろいだろうな~って話とか、「同じ釜の飯を食う」って言葉の意味がわかる本でした。

 

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イキリ終わり!以上!ちなみに漫画では藤本タツキの短編、かぐや様最新刊まで、ベルセルク6巻まで読んだりした。ちなみにベルセルクを全巻揃えるために本棚買った。全部最高だったからこれも布教したい。買え。

 

追伸 研修期間の休み時間中に本ずっと読んでたから結構読めたけど、同期との関係値を犠牲にすることになるからみんなは気を付けようね。

卒業後に大学から84円ぼったくられた話

大学の卒業式の翌日、僕はまだ身分が大学生であるうちにコロナのワクチンを接種することにした。大学に行って列に並び、ワクチンを接種して返ってきた。徐々に腕に痛みを感じ始めるころ、大学のワクチン担当から電話がかかってきた。

 

「予診票を回収し忘れたから送ってほしい。」

 

という内容だった。手元には確かに接種前に記入する予診票がある。本来は接種後に回収されるはずだったものを早急に送ってほしいとの事だった。面倒だったが電話口からあわただしさを感じたことから対応することにした。コンビニで84円分の切手を買い、少し遠いところにあるポストまで投函しに行く最中、この案件はこちらの落ち度なのかどうか気になった。

担当者の言い方から僕が係の言っていたことを無視して返ってしまったのではなく、係の人が回収し忘れてしまっただけなのでは?僕はいま予診票をポストに投函したことを伝えるついでに、担当者に聞いてみることにした。こちらのミスだったなら友人に注意喚起したいので、というテイで質問するという性格の悪さである。

 

電話をかけて担当者に聞いてみると、どうやら係の人が回収を忘れただけのようである。そのために副反応が出始めた僕がこの手間を踏みかつハガキ代も自己負担とはおかしいと思い、電話口で次のお願いをした。

「接種券を別途送付する際の送料をそちらの負担にしてもらえないでしょうか。」

これは予診票の送付を僕が既に行ってしまったために、そちらの料金を立て替えることで対応してもらえないかと期待したためである。まあ色々話しても結局駄目だった。担当者の人は謝ってくれたけど、ハイハイハイみたいな感じで対応された(実際にハイハイハイと言われた)ので、非常にもったいない思いをした。僕の個人的な感情とは別に、副反応で安静にしていたい人がこのような手間を踏まなくてはならないことが起こってほしくないので今後気を付けるようお願いします、弊学。

 

まあ何が言いたかったかというと、予診票は回収されるものだということと、弊学に84円ぼったくられてしまったということである。

悔しいので、接種券の送付は着払いにしてやろうかと思う。(未定)

教授に振り回され夏の予定が変わった話

これまでも身の上話でしたが、今回も完全に身の上話です。

あらすじだけ先に書くと「数カ月だけ東京を離れて暮らす予定だったが、その計画が頓挫しちゃった」って話です。

 

今期からとある授業を取りました。理由は楽な単位らしいという噂があったからです。その授業内でこんなプロジェクトが紹介されました。

「大学生を高校の学生寮に送り込んでワーケーションをさせよう」

という企画を検討しているらしいです(ワーケーションとはworkとvacationを組み合わせた言葉で旅行先で仕事をするみたいな言葉です雑に説明すると)。どうやらコロナの影響で(ここ伏線)県外からの受験生を受け入れないことにした高校が一定数あるらしく、それによって学生寮に空きが出てしまっている(県内の学生は実家から通えるのでわざわざ寮に住まない→寮に空きが増えるという流れ)らしいのです。そこにオンライン授業が増え、大学に通う必要性の薄れた大学生を送り込んで高校生相手に家庭教師をさせたりあるいは地元の農家さんの手伝いをさせたり......ということを画策していたそうです。

高校側としては寮の維持費は空室でも発生してしまうからどうせなら大学生にいてもらいあわよくば家庭教師などのことをして高校生になにか刺激を与えてほしい、大学側としては学生のうちに貴重な経験をできる場を提供できることと高校生への大学のアピールにもなるなど双方にメリットがある企画でした。

 

なるほどこれは面白い、と僕はその企画に参加するかを検討してみました。学生の時期じゃないとこんな経験できないのは確かだし、費用も全然かからないとのことなのでかなり前向きに検討することにしました。

翌週の授業で新たに検討中の高校があると言われましたが、その地域が僕のお世話になっているサークルの友人が多い地域でした。僕はワーケーションでそこに行ければサークルの友人らの集まりに遊びに行けるのではないかという邪なひらめきをしました。念のためメールで問い合わせてみようと思って教授のメアドを調べてメールを送ってみることにしました。以下にログっぽいものを。


2021/05/05 17:37 送信者:僕

F教授

お世話になっております。以前授業で紹介されていたワーケーションはその後進展いかがでしょうか。前期授業終了辺りから利用したいと考えています。

 

2021/05/05 17:57 送信者:教授

現在調整中ですが、前期の授業が終了したあたりからなら大丈夫だと思います。追ってまた連絡しますのでよろしくお願いします。


2021/05/05 18:33 送信者:僕

ありがとうございます。

 

2021/06/14 16:24 送信者:僕

以前授業で紹介なさっていたワーケーションはその後どうなったでしょうか。概要が決まっていましたら教えてください。お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いします。

 

2021/06/21 13:41 送信者:僕

以前授業で紹介なさっていたワーケーションはその後どうなったでしょうか。概要が決まっていましたら教えてください。お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いします。

 

2021/06/23 01:16 送信者:僕

以前授業で紹介なさっていたワーケーションはその後どうなったでしょうか。概要が決まっていましたら教えてください。自身の住居をどうするかを早めに検討したいため教えていただけると幸いです。お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いします。

 

いかがだろうか。本来ならばコミュニケーションとは双方向なものですが、このやり取りの中で双方向にやり取りがなされたのは一か所しかないのです。6月に入ってから全く無視され続けたため、さすがにやばいと思い教授に直接聞いてみることにしました(ちなみに6/14~6/21の間にあった授業で教授のメアドを念のため確認してみた。5月にちゃんと返事が来たメアドに送っていたから気が付かないはずがないのに僕がメアドを間違えていたんじゃないかと不安になってしまったのだ)。幸い、授業はリアルタイムのものだったので授業の最後に音声で質問をすることができました。

 

6/23のメールを送った次の授業の際にマイクをオンにして質問してみた。

 

僕「ワーケーションの件ってその後進捗どうなってますか?」

 

教授「ああもしかしてメールくれた人?大丈夫ですよ夏休みには行けると思います」

 

なんとこの教授、メールをちゃんと読んでいたのです。偉い。まあ大学教授は忙しい職業であることはわかっているつもりだから返事がないのは構わないんですけど、最後の方はちょっと切羽詰まった感じを出してメールしたんだから返事は欲しかったなと思います。まあそれは言わなかった代わりに

「そうですか。ありがとうございます。返事が来なかったものですからメールが届いていないものかと不安になってしまって。」

と皮肉を言うことができたのでヨシとすることにしました。

 

その教授の授業は普通に面白かったので課題もちゃんとこなしました。これは普通に僕が偉い。そして課題の期限が終わって大学の予定としては夏休みに入ってもなお、ワーケーションの続報が一切来ないので、さすがに催促してみることにしました。以下その後のメール。

 

2021/07/26 08:00 送信者:僕
以前授業で紹介なさっていたワーケーションはその後どうなったでしょうか。概要が決まっていましたら教えてください。期末課題の採点などでお忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いします。

 

2021/07/26 10:00 送信者:僕

以前授業で紹介なさっていたワーケーションはその後どうなったでしょうか。概要が決まっていましたら教えてください。期末課題の採点などでお忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いします。

 

とうぜんのようになしのつぶてです。ちなみにここでの文章は一部を抜粋したものですが、2通ともメッセージは全く同じ文面で書いてます。ささやかな怒りの表現。

 

どうせ今日も返事が来ないだろう、明日の朝にまたメールの送信設定でもしておこうかなと思ったその翌朝、ついに返事が返ってきました。

 

2021/07/28 07:56 送信者:教授

 

どうもありがとうございます。

 

あいにく、コロナの影響で、なかなか動き出せない状況です…。

 

一方で、〇〇高校の先生から以下のようなメールをいただきました。

 

こちらに参加してみてはいかがですか?

[以下、ただのリゾバの紹介みたいなものの案件]

 

これを朝一で見せられる僕の気持ちを想像していただきたい。朝の目覚めは入れたてのコーヒーで始めたい人もあるいは一汁一菜の朝食から始めたい人も、これには参るであろう。朝スマホのアラームを止めたらメールの通知で教授からのメールと気づいてしまったのが運の尽きでした。

 

結局この後、そのメールの案件については興味がないので参加しない、もし進展があったら教えてくれとの内容を書いたメールを返事として送ったが、何も返事は来ていないです。まあこれに関しては期待してなかったけど。本件については色々ツッコミどころがあるけど、明らかな矛盾が一つあるので指摘したい。最後のメールの

「コロナの影響でなかなか動きだせない状況です......」

はそもそもの話と違くないですか?この企画自体がコロナ社会を前提とした企画だったはず。コロナで県外からの学生を受け入れなくなった高校と、コロナでオンライン授業になった大学生を引き合わせるというのがこの企画だったはずなのにこの言い訳はちょっと整合性撮れてなくないですか?

 

.........とかいうのを飲み込んで僕は簡潔なメールを返し、このブログを書いています。

この企画に参加するために、いろいろな思考労働をした時間は数えられません。しばらく家を空けるために家財道具をトランクルームに移動させるか、あるいは家を借りっぱなしにしておいて友人や兄に鍵を預けておこうか、あるいはすべて実家に持って行こうかなどなど......まあ散々書きましたが楽しみだった予定が潰されて僕は悲しいってだけのおはなしでした。

 

そんなわけで夏休みの予定が大幅に狂いました。ゆっくりステイホームして、趣味の時間にでもしようかと思います。ブログを書く頻度も増えるかもですが、物好きは読んでみてください。書きたい話はまあまああるんで。

 

P.S.

バイト先に「来月で辞めます!お世話になりました!」って言ったんだけどどうしよう......

壺おじやったら精神病みかけた話

※この投稿には誇張表現が含まれます

※特定の人にとって苦しくなる場面がある恐れがあります

 

みなさんは Getting Over It with Bennett Foddy というゲームを御存じだろうか。通称「壺おじ」。

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画面の通り壺に入った中年男性を操作するゲームだ。彼は肌身離さずハンマーを握っており、このハンマーで地面を蹴飛ばし宙を舞う。眼前に立ちはだかる山々を超えてゴールを目指すゲームだ。

ゲーム配信者がプレイする様子や実況動画などで知っている人はいるかもしれない。だがこのゲームをプレイしたことある人はいるだろうか。その難易度の高さから自らプレイしようという人は少ない。ある晩、私は狂ってしまいこのゲームを購入した。820円という微妙に手が出しにくい価格は逆に私の心をくすぐり、地獄のような105分の体験へと私を誘った。

 

※壺おじを知らない人に説明しておくと、このゲームは非常に難易度が高い。操作はマウスカーソルを動かすだけのシンプルなゲームなのだが、非常に繊細な操作を要求される。そして数十分のプレイが無に帰すような意地の悪いポイントが無数に存在している。例えるなら「ふりだしに戻る」のマスが大量に配置されたすごろくのようなものだと思っていればいい。

 

私がこれを購入したのは深夜2時ごろであったと思う。友人とDiscordで通話しゲームをした後、軽く雑談をしていた。そこでふと、友人らが見ている中でGetting Over Itをプレイしたら面白いのではないか、と思い立った(これが全ての間違いだった)。このゲームは配信者などがよくプレイしており、雑談をしながら見る程度の物としてはちょうどいいのではないかと考えたのである。考えてしまったのである。友人らと話しながら私はDiscordの画面共有を始める。ここから苦行が始まった。

 

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ゲームを始めると地面に置かれた壺から男性が出てくる。壺おじだ。彼がハンマーを地面につけたところからこのゲームはスタートする。ナレーターが私の進行に合わせて余興程度のナレーションを入れてくる。初めは操作に慣れるためにおぼつかない動き出しだった。右手でマウスカーソルを動かし、その大きさや激しさに応じてハンマーで移動する速度が変わる。その感覚をつかまないことには登頂はできないのだ。

 

私がゲームを始めほどなくして、友人がこのゲームを購入した。彼はゲーム全般がうまい人間で興味を持ったのだろう。Discordに画面共有を始め、それに合わせもう一人の友人もこのゲームを購入し参加した。決して競争ではないが、3人の進捗を比べられるような状況と相成ったのである。

 

 

開始から20分ほど経ったころであろうか、ゲームの得意な友人(A君と呼称)が私の地点を超えた。彼は操作の感覚を早々につかんだらしく私よりも快調なペースで進んでいた。一方の私はいまだにコツがつかめずうまく進めずにいた。しかしこれはゲームである。そして何より個々人でやっているだけで競争ではない。気にせずゆっくりやろう。そう思いながらやっていくことにした。

 

 

 

このゲームは段階的に難しいポイントが現れ、そこを超えられないと何度も挑戦することになる。そして失敗すると場合によっては数分前にいた場所まで落ちてしまう。これを繰り返しつつ山を登っていくゲームだ。この仕様がプレイヤーを苦しめる。数十分かけて登頂したと思ったら一つのミスで最初にいた場所まで戻されてしまうのだ。いくら配信などでゲームを見て知っていたからと言って実際に自分が体験するとキツいものがある。努力が水泡と帰すのはつらい。かけた時間が失われるのはつらい。自身の力が及ばないのはつらい。

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ほどなくしてA君のあとに購入した友人(B君と呼称)が私の地点を追い抜いた。私は彼らより回線が強くないこと、ノートパソコンであることが原因でDiscordに画面を共有せずにやるように変更していた。結果としてゲームをしていない視聴組はA君とB君の進行を見て話すようになった(これは当然の帰結なのでもちろん何も気にしていないことを補足しておく、彼らが奇特にもこの文章を読んでいるかもしれないので)。自分の遅さを実感する。右手をぐるぐると動かし男性を動かす。彼は自身の力をうまく使えず何度も失敗する。次第に疲れてきた。動きが雑になりミスが増えていく。

 

 

 

 

 

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子どもの頃の自分を思い出していた。同じ社宅の子どもたちと自転車で競争をした時のこと。1個年下の子に負けて言いようもなく泣きたくなってしまったこと。小学校の中休み、ボールをうまく投げられず三歩当てで全く歯が立たなかったこと。体育の授業で走り方を教えられ必死に腕を振り回すも不格好にバタバタと見苦しく身体を動かすことしかできなかったこと。両親から見せられた運動会のビデオに映る不格好に動く自分。中学の部活で一人だけ不協和が満ちたシュートフォームをしている自分。鬼ごっこで永遠に鬼を渡せなかった自分。苦手な球技の割合が増えチームに迷惑をかけた高校時代の体育。サークルで少し触れたダンスは必死に楽しもうとしたがずっと自身の動きのミスマッチ感が頭から離れることはなかった。

 

 

 

 

 

 

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これは競争ではない。これは競争ではない。これは競争ではない。自分のペースでやること。着実に前進すること。それがゴールへ近づくために必要なことだ。そう自分に言い聞かせながらプレイしていた。しかしつい周囲を見てしまう自身の羞恥心やみっともないプライドが小突いてくる。これは何の話だ?この Getting Over It というゲームの話か?それとも僕のこれまでの話か?いや、どちらも同じ話だ。必死に腕を振り回しもがき進みその最中変なところを叩いてしまったせいでみっともなく落ちる彼と、思ったように動けず醜態をさらしながら無闇にやるものの何も生み出せなかった自分。彼と私は同じなのだ。私がガチャガチャとマウスを動かし、彼がガタガタと進む。彼が落ちるとき、私も共に落ちる。彼が数分前の位置にいるとき、私もそこにいる。

 

 

 

 

 

 

 

時刻は3時を回り、マウスを繰る右腕は疲労に満ちていた。

 

よし、やめよう。

 

と思った。私も彼もこのまま続けていて幸せにならない。できないことは、できないでいいんだ。できないことだらけで、人より劣っていることだらけで、いいじゃないか。そもそもこのゲームは難しいことで有名だったんだ。難しいと認めることに何もおかしなことはない。できないこと、難しいことに挑み続けて壁にぶつかっても、傷だらけになるだけだ。彼の壺がなんども地面に叩きつけられ傷ついていたように、彼の心も傷ついているはずだ。そして、私は自分の傷に気が付くことができた。それでいいじゃないか。

 

 

 

ほどなくして、A君が2時間以内にプレイをやめると言った。このゲームを購入したsteamというサイトにはプレイ時間が2時間以内であれば返品・返金処理が可能というサービスがあった。時計を見ると、私は恐らく返品を行うことができる。恐らくゲームを買う前の私ならば、クリアできなかったからという理由で返品することを良しとしないだろう。しかし、今の私は素直に自分を受け入れることができる。できないことは、できないでいい。こうして私は105分に及んだ Getting Over It との禅問答を終え、彼とのつながりに別れを告げた。このことに後悔はない。私よりも先を進んだ友人への羨望はあれど、嫉妬の心は一切ない。できないことをそのまま認めてあげる、この経験は、確実に私を豊かにした。

 

 

返品をし、直後に返金処理がされて数日後、私はこの文を書いている。steamのサイトにある Getting Over It の商品紹介ページを見てみると105分という私のプレイ時間表示と共にこのようなメッセージが目に入った。

 

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果たして私は、傷ついただろうか。

 

 

P.S.

この文章はおおむね当時の心境に沿って書いていますが全体的に誇張気味になっています。友人が先を進んでいたことに対してこれほど病んでもいないです。ただ返品したことはマジです。二度とやらん。(ゲームに罪はないけど。)

このゲーム、プレイしなくてもいいので誰かのプレイ動画もしくは商品のレビューだけでも見てみてください。色んな怨嗟の声が聞こえてきて面白いので。

store.steampowered.com